
ヤツカミズオミヅヌを祭っている、出雲市の長浜神社。園の長浜の西端にあります。
海のむこうの土地に綱をかけて引き寄せ大地を造られたという神話の神様ですから、綱引きの祖となり「スポーツ上達」、「不動産守護」の神としてのご神徳で知られます。
また豊臣秀吉の唐入り(朝鮮出兵)の際に百日祈願があり、加藤清正や片桐且元、福島正則といった武将が参拝、その折の「弓掛の松」が境内にあります。
緒戦の連勝連勝に、太閤より桐の神紋をはじめ恩賞を授かっており、この頃から「武道・スポーツ上達の守り神」のみでなく、武運長久を祈る勝利への信仰「勝負に勝つ神」として広く信仰を集めるようになりました。
(出雲観光ガイドより要約抜粋)
ヤツカミズオミヅヌノミコトについて調べていますと、「八雲立つ出雲」という言葉を発したのはヤツカミズであると出雲風土記にはあり、この事から、ヤツカミズこそがスサノオだったのではないか? との説もあるようです。
また綱をかけて陸地を引っ張ってきた巨神であり、日本中にある巨人伝説ダイダラボッチが、ヤツカミズであったとするお話もたくさん見受けられます。ダイダラボッチを漢字で書くと踏鞴法師となり、たたらといえば、「もののけ姫」にも出てきた古代出雲のたたら場からダイダラボッチが出現していましたね。
古代出雲が発展した要因のひとつとして、豊富な鉄の生産が上げられます。ヤマタノオロチ神話の、オロチのお腹が赤いというのは、オロチのイメージでもある斐伊川の底が鉄分のせいで赤いのもあるでしょう。退治したオロチの尾から、スサノオが神剣天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を取り出したのも、鉄精製の技術革新をイメージさせます。
そしてヤツカミズ=ダイダラボッチがそのスサノオ(の一族)だとすると、各地に散らばるダイダラボッチ伝説は、鉄の産地を求めて一族が移動した痕跡なのでしょうかね。想像がどこまでも広がります。ダイダラボッチが何故「巨人」なのか、まだそこまで想像できるほど調べてはいませんが。
日本の神話を、知れば知るほど面白いなあー(^ω^)
20世紀を代表する歴史学者アーノルド・トインビーの言葉に、世界中の民族を調べた結果として「12〜13歳までに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく100年続かずに滅びている」とあります。
「武道(スポーツ)上達」「勝利」「不動産守護」の神ヤツカミズの神話なんて、今が学ぶには絶好の時期ではないでしょうか。
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