2010年10月27日

ぶんぶくちゃがま

bunbuku5855.jpg

ブンブクブンブク音がする
夜なかに何だか音がする
屑やもむくむく起きだして
のぞいて見たらおどろいた

見れば狸にちがいない
さては化けたなこいつめと
うとうとしたらこれ待った
わたしやわるさはいたしません

かわりにいろんな芸をして
お目にかけますこの通り
たたく尾太鼓腹つづみ
屑やもかんしんするばかり

今もなだかい茂林寺の
文福茶釜のおはなしは
だれも知らないものはない
だれも知らないものはない
(明治の児童文学者、巌谷小波の童話「ぶんぶく茶釜」より引用)

「ぶんぶくちゃがま」

元亀元年(1570)の夏。
上野国(こうずけのくに)館林にある、茂林寺の守鶴和尚さんは、夜になると踊りだすという、不思議な噂の茶釜を古道具屋で手に入れた。

大勢のお客が集まる千人法会でのおもてなしに使おうと、和尚さんは茶釜の汚れを小僧さんに井戸で洗わせていると、

「痛たた、痛たたた・・」

小僧さんがゴシゴシ茶釜をこする度に、どこからか、おかしな声が聞こえる。


気のせいと思いながら、小僧さんは次に茶釜に水を入れ、火にかけてみた。

「うわー、熱い、熱い!」

茶釜から尻尾が生え、手足が生え、タヌキの頭が飛び出した。


驚く和尚さんと小僧さんに、茶釜タヌキはわけを話した。

「仲良しキツネと化け比べをしていて、犬に吠えられた拍子に、元に戻る術を忘れてしまいました。

仕方なく茶釜の姿のまま古道具屋を転々とし、もういくところがありません。

どうぞこのお寺においてください」


和尚さんは、快くタヌキの願いを聞いてあげた。

「ありがとうございます。

お礼に、私は芸をします。村の人々を集めてください」


お寺の境内に演芸場ができ、茶釜たぬきは、綱渡りや踊りを披露し、大人気になった。遠くの町からも見物客が集まり、お陰で村は大いに潤った。

和尚さんは茶釜たぬきに、福を分ける「分福茶釜」と名づけ、可愛がった。


茶釜は、今でも群馬県の茂林寺のお堂に、静かに眠っている。
(再話:bonso)


ぶんぶくちゃがま 群馬県の昔話

民間伝承である昔話には、一つの同じお話しでも非常に多くのバリエーションが伝えられています。この「ぶんぶくちゃがま」も、資料を調べるほどに、極端にいえばクライマックスのタヌキの芸の場面以外は皆少しずつ内容が違っている。

いくつか並べてみると〜

・タヌキが茶釜に化けたのは、お腹をすかした子ダヌキのために、茶釜となって古道具屋で売られ、そのお金で子ダヌキに食べ物を買ってあげようとした。

・タヌキに親切にしたのは古道具屋で、タヌキの芸も古道具屋へのお礼のため。

・茶釜はひとりでに湯を沸かし、いくら汲んでもお湯が尽きる事はなかった。

・実は守鶴和尚がタヌキで、僧に化けて寺を守っていた。

・茶釜がタヌキとバレたのは、火にかけられたからではなく、月夜の晩に浮かれて踊っていたため。

〜等々。

これら大まかな違いの他、さらにいくつもの枝分かれがあり、これを美味しいとこ取りして(笑)、短いテキストに纏めるのは割と苦労しました。
posted by watanabe at 21:37 | Comment(0) | ぶんぶくちゃがま
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

■「神話博しまね」

2012年7月21日(土)〜11月11日(日)

・創作人形写真、及びジオラマ展示
・粘土ワークショップ開催

2012年は、古事記編纂千三百年の年。古事記千三百年を記念する「神話博しまね」イベントのひとつとして、渡邊和己の神話モチーフの創作人形写真の展示、神話創作人形ジオラマの展示、また、粘土作品制作のワークショップを開催させて頂きました。

神話博しまね公式ウェブサイト
http://www.shinwahaku.jp/

神話フィギュアジオラマ展 出雲神話絵巻 お知らせページ
http://www.shinwahaku.jp/main-stage/taisha/